「ギザギザ」バルコニーで利便性とプライバシーのジレンマを解決する駅前マンションのプロトタイプ: 計画地は都心から郊外へと向かう幹線道路沿いで、その上の高架を走る舎人ライナーの扇大橋駅の目の前に位置する。駅前マンションは利便性が良い反面、駅のプラットホームや電車内からマンション内での生活が見えてしまう。 この生活プライバシーの問題を、バルコニーをギザギザ状にデザインすることで解決すると共に、駅前地域のランドマークとなるような建築物を目指すことで、これからの駅前マンションのプロトタイプの一例となるよう試みた。 ファサードは鉄道の乗客と住人の視線が交錯しないように、ギザギザ状のバルコニー手摺とフレームで構成した。塗装の塗分けにより、バルコニー内の外壁とフレームのコントラストを強調することで、住戸内部の存在感を抑えつつ、ファサード表面ではダイナミックな凹凸感を表現した。以上のデザインにより、鉄道乗客の視線から住人のプライバシーを守り、室内からバルコニーを見た際の開放性の維持を可能にした。 ファサードはコンクリート躯体と塗装のみで構成することで、現場職人たちの技術力によって限られたコスト内で実現することができた。駅プラットホームより高い位置に計画する住戸では、電車によるプライバシーの問題もなく、室内に明るい自然採光を取り入れることができるため、天井高のあるロフトタイプとした。 また、本建物のアウトラインを南北隣地の建物アウトラインに合わせて配置することで、 隣地建物に対して日照を遮らないよう配慮した。 ギザギザ形状のバルコニーで構成する外観ファサードは、周辺に立ち並ぶマンションの中で独自的なリズム感を表現することで、駅前という場所柄、地域のランドマークとなるよう目指した。
メンバー
クレジット
- 撮影
- 株式会社ケイ・エスト・ワークス
- 設計
- 合同会社オー・アイ・ディーアーキテクツ
- 担当者
- 萩原吉勝 / 池谷佳久 / 鈴木康之
- 施工
- 新興商事株式会社
- 構造設計
- 株式会社エナ・デザインコンサルタント
データ
- ビルディングタイプ
- 共同住宅・集合住宅・寮
- 工事種別
- 新築
- 延べ床面積
- 919.1㎡
- 竣工
- 2024-03