PROJECT MEMBER
工務店のモデルハウスを兼ねた宿泊体験型住宅です。 敷地は横浜市の郊外にあり、西側は果樹園に面したおおらかな環境にあります。 計画地周辺の高齢化もあり、高齢化する地域社会と人々が真に健康に暮らすためのモデルとなる住まいを事業主である工務店と模索し検討を進めていきました。 建物の計画は高齢な夫婦の住み替えを想定し2人暮らし+αをテーマとし、高齢な家族の住まいとして小さな中庭のある平屋の計画としています。 この住宅では健康に暮らすための取り組みとして建物の主要構造部や各部に無垢材を使い、接着剤などをなるべく使わない建材を選定しており、構造の水平構面にも「どんとパネル」という面材を用い集成材は使用せずに耐震性を確保しています。 また、温熱環境を整えるための断熱材にも再生可能な自然素材のセルロースファイバーを充填し、空調設備にもルームエアコンではなく輻射熱パネルによる空調を装備するなど、快適性と健康を実現するために徹底した材料と工法の選定をしました。 十分な断熱性能を担保した住まいは気候の穏やかな春、秋は空調設備を必要としませんが、夏、冬は輻射熱パネルによる空調により体に優しく室内環境を整えます。輻射熱パネルによる空調は無垢材などの自然素材との相性も良く、空気を自然に調湿しつつ快適な室内環境が実現できます。 照明計画ではサーカディアンリズムによりリラックスし体調を整えることができる照明計画を実践し、外構植栽計画では元々この地域が里山であったイメージをモチーフにした世界観を表現しながら、町との接点にやわらかい境界をデザインすることで景観とプライバシーにも配慮しました。 地域との共生・循環・健康をテーマにした一つの実験的なモデル住宅が人々に認知され空間の心地よさや快適性を実体験してもらうこと、そして一つの住宅モデルが波及し人が心身ともに健康に暮らす社会の形成につながることを願っています。