Cafe N+  歴史をつなぐ曖昧な境界

ビルディングタイプ
カフェ
6
203
日本 大阪府

補足資料

Site
その他
plan
図面
diagram
ダイアグラム
interior
その他
Detail
その他

DATA

CREDIT

  • 撮影
    三木 夕渚
  • 設計
    Horibe Associates
  • 担当者
    堀部直子 / 堀部圭一
  • 施工
    小阪工務店
  • 構造設計
    高橋俊也構造建築研究所

高槻市の歴史ある神社と新しい芸術文化劇場を繋ぐ新たな街のにぎわいの場として、Cafe N+は既存の風景と調和しつつも主体的である建築を目指しました。 計画地は神社境内の一画であり、カフェのファサードは劇場との隣地境界線に面しています。 この隣地境界部分は工事中の劇場の計画では植栽帯とされていましたが、市の担当者と協議し、植栽帯をオープンスペースにすることで、カフェと一体的に利用できる広場を実現することができました。 境内の複数ある既存建築物の延焼の恐れのある部分に影響を及ぼさないためには、建築物全体で500m2以内(建基法2条六号)に納める必要があり、カフェの面積は必然的に18m2以下となりました。 小さくても広がりを感じさせる空間を追求した結果、既存社務所に面する背面の壁を鉄筋コンクリート造として地震力を負担させ、この壁と鉛直荷重のみを負担する4本の木柱に軽やかな木造の屋根を乗せるという構成が決まりました。 コンクリートと木の組合せによるこの意匠は、神社と劇場双方の建築デザインの文脈をつなげる役割も果たしています。 屋根を既存社務所の軒下に納めることで背後の入母屋屋根から連なる建築のようにも見え、また水平ラインを強調したシンメトリーなファサードは鳥居の形状とも呼応します。 内部の床壁に使用した墨モルタルは、既存建物外壁の黒漆喰の素材感に近づけることで、新旧の建築をつなぐ要素の一つとし、利用者が最初と最後に触れる扉の取手や家具には栗の無垢材を採用することで、居心地の良い空間と温かみのある手の感覚を同時に記憶してもらえるよう設えました。 カウンターやベンチとして利用できる外周部に廻した帯状の凸部によってこの建築は浮遊感を纏い、浮遊感によって旧から新へ繋がる街の文脈を流れるようにつなぐ役割を果たしています。 この小さな建築が既存の風景に馴染むだけでなく、歴史をつなぐ新たな街かど空間の主役として人々に永く愛されることを期待しています。

物件所在地

6