軽井沢の座標

ビルディングタイプ
別荘
4
177
日本 長野県

DATA

CREDIT

  • 撮影
    Jumpei Suzuki
  • 設計
    櫻井雄大 / 中村亮太 / 中園幸佑

浅間山の麓に位置する築5 0 年の木造平屋の改修計画である。建主は幼少の頃、敷地に林立する樅に登り浅間山を望んでいた。樹木に紐づく物語が点在する8 5 0 平米ほどの敷地に、退職後の拠点として追憶の余暇を過ごす場所が求められた。新たに建築するのではなく、5 0 年間の記憶が染み入った母屋を残し、未来へ展開する物語の舞台を用意することが肝要であると思われた。記憶の舞台であるこの場の形式を林立する木々による座標系の群として捉え、築5 0 年の既存柱梁を樹齢5 0 年の木として等価に扱い、自然の木々と既存建築の木軸を座標系群の形式と見做す。そして、次なる物語の舞台としてこの既存形式に新しい形式としてのコンクリートの造作物を並置して新しい活動起点を用意し、ノスタルジアと未来の活動が紐づきながら展開するように意図している。  そして5 0 年後、建主の子に引き継がれ、次の計画者が現れたとき、ここで定義付けた座標系群の形式は如何なる与件として認識されるか。未来の与件としてのこの形式が次の計画に生かされるものになる構想が、改修計画の本性であり、改修によって建築が文化として生き続ける一つの条件であるように思われる。

物件所在地

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