CYCL

ビルディングタイプ
公衆浴場・銭湯
11
356
日本 山梨県

DATA

CREDIT

  • 撮影
    YASHIRO PHOTO OFFICE / Taiki Fukao
  • 設計
    百枝優建築設計事務所
  • 担当者
    百枝優 / 伊勢本尚也 / 奥村光城 / 黒田悠馬
  • 施工
    丸正渡邊工務所
  • 構造設計
    Graph Studio
  • 環境計画
    スタジオノラ
  • 設備設計
    シード設計社 / ムラヤマ・電気設計
  • 外構計画
    鳥山早穂
  • 照明計画
    B&Lighting
  • クリエイティブディレクション
    川浪寛朗(CYCL)

山梨県山中湖村に計画したサウナ施設。湖畔と富士山を眺めることができる絶景地であり、施主が国立公園の事業者として運営する上で環境省からの認可が必要な場所であった。自然公園法に基づく認可の基準として、「矩形の平面」、「伝統的な屋根形状」、「ガラス面積は壁全体の半分以下」という主に3つの制約が挙げられた。  外形の制約がある中で、それでも建築を地域固有の歴史につながる風景の一部にしたいと考えた。注目したのは笠雲である。富士山の東に位置するこの地域では、古くから現在まで富士山にかかる笠雲の形状を見て天気を予測してきた。そこでその関係を建築に置き換え、大地が隆起した山のような構造体で屋根を浮遊させることを思いついた。そして風景の模倣を超えた建築の応じ方として、「山」の中と外で自然の感じ方を変えることで、集中から解放へと人の精神状態が切り替わる2層の空間を提案した。  壁に囲まれた1階は瞑想のように集中できる落ち着いた環境であり、サウナの主機能を計画した。サウナ室を中心に平面を構成し、壁に対して斜めに振られた「山」が屋根の軸力を伝達しながら各室の上部に吹抜けをつくる。また、天窓と通気口を「山」の頂部に設けることで、吹き抜けから各室に自然光が届き、「山」の中の空気が動くようにした。ここではサウナ室で太陽の動きを、水風呂で地下水の冷たさを、内気浴室で風の流れを感じながら循環していく。  こうした自己の内面に向かう空間体験を経て2階に上がると、全方位に視覚的に開かれた無柱空間が広がる。そして、軒先に丸みをつけた白い「笠雲」の下で、多面体の「山」を背もたれにして、畳敷の「裾野」に座る。この自然地形に呼応した空間体験を通して、美しい風景に対峙する。

物件所在地

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