補足資料
PROJECT MEMBER
小平株式会社本社 HARBORは、鹿児島で創業 110 年以上の歴史を持つIT・エネルギー商社である小平株式会社の新本社として2024 年 1 月に竣工した。 計画地は昔ながらの温泉街「湯之元」として知られ、かつては温泉宿や飲食店などが立ち並ぶ賑やかな場所だったが、現在は宿泊客や人口の減少によりシャッター温泉街となっている。小平株式会社のCSR活動として、様々な事業者が出店できるシェアカフェをこの地域にオープンしたことで街との繋がりが生まれ、企業と地域の新しい関係性を目指した新本社移転計画がスタートした。 新本社は県内外や海外の拠点から様々な人が集まり地域と交わる「港」になる事から、「街並みに開く緩やかな波型屋根」や「堤防のように伸びるアプローチ」、「波紋のように広がる県産の杉床」など「港」をキーワードにした様々な意匠を散りばめている。杉の外壁や軒天、アプローチに設けた暖簾や照明などは、地域に古くから馴染んだ温泉宿のように設え、新築且つ異形のデザインを違和感なく街並みに溶かしていくことを意識した。 ホールは様々な利用形態を想定している。階段状のステージを設けており、常駐しない社員が出社した際のデスクとして利用できる他、社内研修や地域の人々を招くイベント開催時には客席として利用することも可能となる。ホール中心には鹿児島の県木である楠(クス)で作られたドリンクカウンターがあり、社員同士や来社した顧客とのコミュニケーションの場として活用されている。 構造材に県産桧集成材を用いるなど積極的に県産材を活用してエンボディドカーボン削減に努めている他、高断熱高気密且つパッシブ設計シミュレーションを行った省エネルギー・省CO2建築として意匠とエネルギー性能の両立を実現した。 企業の地域交流からCO2削減まで様々な課題に取り組んだ「これからの時代のオフィス」として周囲から注目を集めている。