PROJECT MEMBER
神奈川県横須賀市に位置する神奈川歯科大学キャンパス。職員が主に使用する事務棟の老朽化を契機として、事務機能と学生の居場所となる空間を複合させた施設が構想された。本プロジェクトによって、キャンパスに不足していた広場のような空間の創出を目指した。居場所としてふさわしい空間を検討する中で、おおらかでのびやかな屋根がキャンパスを覆うイメージを想起した。 やわらかな雲のようなオブジェクトの下には開放的なエントランスホール、シンボルツリーが一望できるテラス、レストホールなど、さまざまな憩いのスペースがひろがる。 中心に位置する2つの棟-事務棟と学修棟は、ゆるやかな曲線の屋根とは対照的に古典的なコンクリートフレームで構成される。特殊な顔料を混ぜたカラーコンクリートとし、光によって変化に富むゆたかな表情が、殺伐とした雰囲気であったキャンパスと街にやわらかな印象をうみだす。 ランドスケープにおいては、見通しがよく高さを抑えたポールフェンスやオーバースケールな正門、キャンパス内外を横断する床仕上げや植栽帯などにより境界をできる限りぼかし、キャンパスが接する三笠公園の遊歩道との融合を図った。学生や地域の人たちも自然に迎え入れるような空気感が生みだされている。 都市的スケールの大屋根とこれらのランドスケープが、カタリストとしてさまざまな活動をうながす。生き生きとした、活気あるキャンパスへと変貌を遂げつつある。