グループホーム桜

ビルディングタイプ
養護施設・福祉センター

補足資料

平面図
図面

DATA

CREDIT

  • 撮影
    ©️ToLoLo studio
  • 設計
    石川英樹
  • 施工
    (株)トヨタトータルデザイン
  • 構造設計
    モヴ構造設計(株)

グループホーム桜は、障がい者福祉施設である。どんな障がいがあろうとも、生まれ育ったこの街で地域と関わり合いながら暮らしていく。施主はこれまでもそれを叶えるための生活、活動できる施設を運営してきた。そういった活動が当たり前にできる環境を整えるのに必要なことは何かを問い、それに応えるような形で現在に至っている。グループホーム桜は、これまで以上に地域社会と相互に支え合い、認め合いながら生活できるようにとの想いを込めて計画が進められた。ここには様々な個性を持つ方が入居する予定であり、それぞれの生活スタイルに合わせた内部構成にすることで、自分の家として居場所を作り、生き生きと自分らしく暮らしていくシーンを思い描いている。敷地から辺りを見渡すと、田畑が広がり、公園で遊ぶ子どもたちの声が聞こえ、美しい山並みを望むことができる。こうした恵まれた環境を生活に取り入れるべく各所に開口を設け、光や風が存分に通り抜けて四季の移ろいや外の様子を肌で感じられるようなものとした。1階は入浴をサポートすることができる特殊浴槽を備え、リビングを中心に配置された各部屋は直線的ではなく回遊性があることを軸としつつ、気分に合わせて居場所を見つけたり、人が行き交うことで小さな社会が形成される構成となっている。厨房はオープンキッチンでリビングから様子を窺うことができ、ここでもお互いの気配を感じ、調理の様子を五感で感じ取ることができる。2階は音や他人の動きに心を乱されやすい方たちが穏やかに暮らせることに重点を置いている。リビングに隣接した事務室を中心として放射状に区分けすることで、なるべく煩雑な刺激に惑わされない、それでいてスタッフが常に見守ることができる見通しの良い構成としている。談話室は時として避難場所としての重要な役割を担っている。そこから繋がる広々としたデッキは一般の方も外部階段を利用してアプローチすることができる。このデッキの先には公園が広がっており、公園で楽しむ賑やかな声が届く。生活の大半を施設の中で過ごす方が多い中、このテラスと外部階段は施設と地域を繋ぐ架け橋のような存在として、とても大切な場所と位置づけている。建物全体を通して、見通しの良い構成や水回りへの動線など、スタッフにとっても多方面へのアプローチがしやすくなり、より充実したサポート体制が整った。入居者、スタッフ、地域の人たちみんなが笑いあえる地域社会の居場所でありたいと願う施主の思いが形になっていると思う。

物件所在地

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