『In harmony with People and Nature』 「自然と人の調和」、これがニュージェック本社ビルの改修コンセプトです。 「自然と人を技術で結び、持続可能で快適な未来を創る。」ことを使命とし、「共に拡げ高め合い、“自然と”生きられる社会を世界に。」というビジョンを掲げるニュージェックのエントランスのあるべき姿を表現したものです。 エントランスを入って左手は植栽を配した「自然空間」、右手は会議室と待合室をレイアウトし人が集まる場所である「人空間」と位置づけ、両空間の境界であるエントランスに入ったまさにその足元に、大きなW スクエア(2つの正方形の交わりによってキャッチコピーの意味を可視化し、技術者集団としての「知の集積と統合」をも表現しています。)を配することでそれらの交わり・調和を象徴的に示すことにしました。 背景として、防音会議室増設や社員リフレッシュ場所整備の要望、「おもてなし感」や「格」の向上、創立60 周年に合わせた職場環境整備などがありました。これらを踏まえた改修目的を次の4つに整理しました。 ・「生産性」「創造性」「ウェルビーイングの向上」、「ブランド戦略の展開」 (ⅰ)集中できる場の創出 ⇒ 防音会議室増設 (ⅱ)価値創造の場、共創の場の創出 ⇒ アイディアが生まれやすい空間へ (ⅲ)ウェルビーイング向上の場の創出⇒ 魅力ある空間・くつろげる空間へ (ⅳ)ブランド戦略の場の創出 ⇒ 格を上げるエントランスへの転換 上記を踏まえ、これらを各空間に展開しました。 1、エントランスホール:ブランド戦略の場、出会いの場[自然空間] 2、共創スペース(会議室含む):集中できる場、社内外共創の場[人空間] 3、リフレッシュスペース:ウェルビーイング向上の場、社内共創の場[くつろぎ空間] ◆全体計画 1 階全体は「自然と人の調和」を象徴し体感できることを意識し、その仕掛けとして、内 装壁面に緑化を組み合わせ(バイオフィリックデザイン)、室内に自然光と同じような1 日 の流れを作り(サーカディアンリズムの活用)、「生産性」「創造性」「ウェルビーイングの向上」を図るとともに、格調を高めるために全体的に落ち着いた雰囲気を演出しています。 また、外部に面したガラスには断熱性に優れたものを採用し環境負荷を低減することでSDGsへの貢献も視野に入れたものになっています。 ◆エントランス まさにニュージェックの顔となる箇所です。 まず、建物に対して斜めに自動ドアを設置するように変更しました。エントランスを入った人の視線を会議室のある右手に向けつつ広さを感じてもらうためです。 エントランスに入ると、吸音設計により外界の騒音が消え、壁面緑化からの植物の新鮮な空気が感じられます。 入って直ぐの正面には左官仕上げ壁面に「NEWJEC」の立体ロゴがあり、ロゴの「W スクエア」をモチーフとした高級感のあるタイル張りの床とアルミ製鋳物天井がそれを包摂し格調高さを醸し出しています。 タイル貼りの床の割付は、フィボナッチ数列によりNEWJECモチーフが展開されるように計画しています。 ◆エントランスホール エントランスホールは「自然空間」の表現としてその壁面に、自然植栽を用いた緑化パネ ル、形状変化を持たせた木のルーバー、水の流れをイメージした揺らぎパネルを用いたデザインを施しました。 ◆共創スペース(会議室含む) 社内外の共創を促す場として、会議室5つと待合を設けました。遮音性の高い建築素材により静寂性を高め、各会議室は防音ガラスパーティションで区切ることで周りの音を気にせずに共創できます。 会議室の室内向きガラス面には黒部ダム周辺の等高線を貼り、我々のorigin を感じられるようにもしました。 天井の照明は円形にし、直下の床面には待合時にくつろげるWスクエア型ソファを配しました。 円形は経営理念で謳う“信用と信頼の輪”を表し、それが床面のW スクエアにつながる、つまり、ニュージェックを形作る根本であるという見立てができます。 待合にはその他、ルーブル美術館等に所蔵されるジャン・プルーヴェ、イサム・ノグチ等 の机や椅子を配置し「世界に」を目指す様を体現しています。 エントランスとはルーバーにより緩やかに仕切り、両面にディスプレイを配置。様々なコンテンツを映し出します。 ◆リフレッシュスペース 内装は木質空間とすることで、皆がくつろぎ気分転換できるスペースとしました。 ここが出会いの場となり、新しいアイディアが生まれることを期待しています。 そのために自然と人が集まりコミュニケーションを誘発するビッグテーブルやくつろげるソファ席など、多様な使用場面に対応できる什器を配置しました。