桜川のマンション改修

ルーフテラスと高い階高が特徴の60㎡のマンションの改修。 南に流れる川の反射や映りこむテラスの木々の影を主役に、素材感やディテールを丁寧に組み合わせ、家族や友人が集まり、心地よく過ごせる空間を目指しました。 天井裏の物置として閉じていたロフトの壁を取り去り、中間的な高さのルームユニットを挿入することで、スキップフロア状につながる立体的なリビングスペースを生み出しました。 玄関やキッチンに余裕を持たせる一方で、バスルームや寝室はコンパクトにまとめるなど、シーンごとのスケール感にメリハリをつけ、リズム感のある空間としました。テラスに落葉樹を中心とした緑のスクリーンを設けることで都市との距離感をつくるとともに、室内のタイルと連続する暗色のデッキを張り伸ばし、内側が滲み出すような空間としています。回り込むような動線づくり、抑揚のある空間構成、内部と一体利用できるテラスなど、大きくはない都心部のマンションの一室に余白と距離を感じられる計画としました。 広がりのあるひとつながりの空間構成に、曲線と直線を組み合わせた柔らかみのあるディテールで空間の細部を整え、無垢材や籐編み、珪藻土などの自然素材を用いることで、経年変化や時刻で変わる光と影の表情を楽しめる、シンプルで飽きのこない永く愛される空間を実現しました。