亜熱帯のいえ

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 撮影
    mamiyasan
  • 設計
    株式会社ADeR
  • 担当者
    仲本昌司
  • 施工
    株式会社ニライカナイ建設
  • 構造設計
    株式会社黒岩構造設計事ム所
  • 造園
    HIFUMI合同会社

 毎年夏場に強烈な台風が通過し、真夏の太陽に照らされる沖縄。耐風性や耐震性のある鉄筋コンクリート造と、調湿効果があり、高温多湿の沖縄に適した木造。それぞれの利点を活かした混構造にすることで、建物や中で住まう人を守ることが可能だと考え、本建築が誕生した。  沖縄は鉄筋コンクリート造の建築物が主流だが、沖縄の高温多湿の気候を考えると、蓄熱し調湿効果のない鉄筋コンクリート造より木造を取り入れて適切な断熱を施す事で、調湿でき日射熱取得量を抑えた計画が可能と考えた。また、コンクリートの原料となる石の採石場の乱開発により、近隣の道路には常に粉塵が張り付き、水質汚染や土砂流出等の問題が指摘されている。コンクリート使用量を減らし、沖縄の環境に適した工法を検討し採用した。  台風時、見晴しよく風当たりの強い場所ではすべて木造とする事には不安がある。沖縄の伝統的な⺠家は敷地境界にフクギの木や石積みで防風をはかり、軒を抑えた屋根によって、台風を凌いでいたが、今回のような敷地条件では、そのような手法をとる事ができない。そこで、開口部を限定したRCの壁を外壁に設ける事で台風や、日差しを受け、屋根と内部を木造化し開放的な内部空間を実現している。  玄関から入っての中庭は、植栽と水盤を配置し、住人や訪れる人を迎える。庭を介して内部空間へとつながり、自然を取り囲み一体となった住環境となっている。中庭側、テラス側の木製建具を開放すれば、風の抜ける開放的な東屋のような空間となる。強い日差しや台風という自然豊かだが厳しい条件のある沖縄で、開放的かつ自然と共存した沖縄ならではの住まいが完成した。

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