指宿白水館 白砂の間

ビルディングタイプ
旅館
アワードバッジ
17
3,473
日本 鹿児島県

DATA

CREDIT

  • 撮影
    Kenta Hasegawa / Hiroki Isohata
  • 設計
    atelier SALAD
  • 担当者
    徳永孝平  / 栫井寛子
  • 施工
    Design Office SHIROYAMA
  • 照明計画
    Filaments Inc.
  • グラフィック
    PRISMIC DESIGN
  • FFE
    OWL

鹿児島県指宿市の老舗旅館、指宿白水館のコンセプトルームである。 かつて東洋のハワイと呼ばれ、多くの団体客を受け入れた時代が一段落した。この計画においては、将来に向けた老舗旅館の新たな可能性を見出すことが目標であった。そこで私たちは、どこであっても体験できることではなく、ここでしか得られない体験を目指し、指宿特有の砂むし温泉という文化に着目しようと考えた。 砂むし温泉の砂に覆われたとき、身体と大地が繋がり、生命の原初的な本質に回帰したような解放感を覚える。 この原初的な感覚を、未来への展開として表現しようと試みることとした。 砂の色味や手触りを思わせる材料を用い、色々な寛ぎの姿を想像しながら空間に輪郭を与えていった。空間としてはひとつながりでありながら、レベル差や空間のプロポーションの強弱によって多様な居場所を作っている。 「通り土間」は、エントランスを兼ねた土間であり、壁面をくり抜いた本棚に置いた鹿児島の文化や工芸品にまつわる書籍を、ソファベンチに腰掛けて読むような情景を期待した。通り土間から、一段上がるとメインの空間となる。中央にゆったりと造形したベッドフレームは空間をゆるやかに秩序づけながら、多様なシークエンスを生んでいる。ベッドボードはリモートワークにも対応して、ワークテーブルも兼ねるような形態とした。 「小上がり」は、一段上がった畳敷の空間であり、穏やかな内海を眺めながら、瞑想するような風景を想定した。「離れ土間」は、一段下がった土間であり、晩酌を楽しみ、早朝のコーヒーを淹れるようなシーンが生まれた。 和室については、鴨居を天井に埋め込んだ大きな建具により、プライベートな場面からオープンな状態まで可変する設えとした。 また、コンセプトルームの名称「白砂の間(はくしゃのま)」に因んで、建具桟の配置によって「HAKU SHA」と行燈のように浮き上がるようなアート表現も加えている。 地域ならではの文化と、和の要素を丁寧に掛け合わせることで、新しい空間を実現しようとした。 これまでの華美なラグジュアリーの先にある、人間と自然の関係性を解きほぐすような、新しい時代のラグジュアリーを見出すことができた。

物件所在地

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