カフェ 『Astral Ray coffee』

ビルディングタイプ
カフェ

DATA

CREDIT

  • 撮影
    名倉 広
  • 設計
    目 純一
  • 施工
    LAカンパニー
  • 照明計画
    西野照明デザイン事務所
  • 家具
    万年青家具製作所
  • 仕上装飾
    segno

近鉄新大宮駅とJR奈良駅のほぼ中間に位置する奈良市法蓮町。 周囲には古くからの民家とマンション・ハイツがバランス良く共存、奈良育英高校初め少し先に一条高校など教育機関が多数。 古き良き地域社会が適度にアップデートされた治安の良い町。 その中央を通る交通量の多いバス通りである一条通り沿いにオープンした『Astral Ray coffee』 お若いお二人の共同経営で、カフェでのお勤めの経験はゼロ。 だけどそれで融資受けてまでなぜカフェ開業なのか…の意思と意図に共感。 ほぼプランを完成させていた物件を横取り?されるなんてトラブルにめげず笑 店舗デザインという角度からお店を成功させる為の全てのノウハウを惜しみなく提供させて頂く覚悟でプラン作成に取り組まさせて頂きました。 昨今の、美味しくて安全で身体に良いならそこそこのお金は払いたい…という価値観に応えるのは当然、それに加えお二人が従事してこられた“教育”にまつわる事や“心のサポート”の『場』として地域に必要とされるモノにする、これがミッションの全てでありコンセプト。 そのコンセプトを表現する空間創りのキーワードとして。 ・クリーン / 優しい / やわらかい ・素材活かし ・解放感 / 風通しの良い ・凛とした ・ノーターゲット ・公共施設感 ・女性オーナー なんかを勝手にチョイスしてプランを進めました。 お二人のご意向として ・全面開口可能なファサード ・テイクアウトカウンターの併設 ・ワークスペース化できるテーブル席 ・外部ベンチ併設 ・新しさを感じる空間 / レイアウト ・間接照明のある空間 を上記のキーワードでフィルターかけてコンセプトに落とし込む…を繰り返しました。 このお店を使う人が悩まない程度に色んな使い方をして貰える様、客導線・固定ベンチ設定・椅子のワイド・カウンターの奥行き設定、などを設計したつもりです。 具体的には… 軽鉄を敷き詰めたカウンターの腰壁は唯一の?今っぽさの演出。 店舗の一番目立つ場所に『人間のインナー部分を支える・支え合える様な場所にしたい・そう成りたい』というお二人の想いを私なりに表現した結果が勝手にそうなってる…と言った方が正しいかと思います。 ちょっと小懐かしさを感じる吊り天井でトップの高さの設定とほっこり感の演出。 そこに間接照明を回す事で魅せる為の照明に発生しがちな白々しさ(私が感じるダケ?)を回避。 テープライトではなくシリコンライトを採用し上部をボワっと光らすじゃなくラインが通ってる見え方にして屋号の『Astral Ray(星の様な光線:直訳)』を表現(実はコレほんとラッキーなたまたま)。 木部は素地色前提のため色狂いの少ない材をチョイス、面材はシナベニヤ、柱材はスプルースを採用しています。 販売されているカラー画用紙やボール紙製の動物のオブジェみたいな面構成な感じが知育や保育を彷彿とさせて可愛いな…と思ったので今回はなるべく面材で構成しています。建具の枠までベニヤを使い、極力角材や柱材を使っていません。 ファサード建具は折れ戸で全開口させれながら全閉した時には中央の戸が建具として開閉するスペシャル企画。 その上下センターには素地の鉄板を内外から貼り合わせ。 キックプレートがセンターに来たみたいなユニークさとフラット感を、外観の塗装面のラインと合わせる事でシャープさを出し、モルタル色に寄せる事で外装の一部として建具を壁とを少し馴染ませる事を狙っています。 外装の帯状に入った紺の塗装部はモルタル面のテクスチャ負けない様にエイジング仕上げ。 普通のEPインディゴブルーの上に墨汁を凹部に擦り込み以外を拭き取る、軽くサンダーをあててごく僅かモルタル素地まで削る面を作る。 ここは屋号をズバリのギャラクシーを表現(詳細はエイジングページにて)。 全てステンシルで表現したサイン関係はエイジングをかけずパキっと。 読ませたいモノはハッキリ、雰囲気を伝えたいモノは曖昧に。 ここは公共施設的解釈でサインを雰囲気にはしていません。 店内椅子と店外ベンチに関してはシリーズに見せ、デザインを共通させることで内外の繋がりや公平性(内も外も一緒やでぇ)を謳っているつもりです。 デザインソースは“折り紙”。ここも保育や教育と紐付け。 店内用に関してはベンチと椅子の間を狙った『べンス』。 申し訳程度の背もたれが割と良い仕事をしていて、これが案外座り心地を担保してるかと。ワイドもベンチと椅子の間、座り方は座った人が決めればいい…そんなトコもあるツンデレなべンス。妙に猫背になりにくい座り心地は一度試してみて欲しい(詳細は家具/什器ページにて)。 店内の固定椅子は全てこのべンスの背もたれ?設定。 毎度ですが、設計上高さ関係は無理矢理にでも数種に絞り情報量を減らしています。 工事期間中、これまでに無いくらい地域住民の方に聞かれた『何オープンすんの?』と『いつオープンすんの?』。 オラがムラに何が出来るのかの興味だったり期待だったりもしかして風紀悪くなるカモの不安だったり…色々だろうけど先ず話しかけてきてくれるそのオープンスタンスがスゴい。 そもそもそういう風土なのか、工事中のお店から出てる雰囲気がそうさせるのか(それならかなり嬉しいが…) 郊外に突如として現れたこの新感覚のカフェ『Astral Ray Coffee』がいつかこの街のハブ的な役割を担ってくれる事を願います。

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