
PROJECT MEMBER
「敷地の地形にそった、純粋幾何学の建築」 軽井沢、別荘の計画。ホテルと住宅の中間のような存在としての付加価値が求められました。 用意されたのは豊かな森を有しながら大半が急傾斜した土地。斜面の形状に沿わせるように、円の一部を切り取ったプランとしました。断面は片流れ。円弧に沿ってこれを回転させると、逆円錐形のルーフができあがります。 法規上の構造種別は木造です。ただし、リビングの15M×12Mの大スパンを実現するために、スチール材で梁を補強。また、在来木造の柱ではなく、無垢の鉄柱を用いて柱サイズを最小化することで、透明度の高い森に開いた大開口が実現されています。こうして、構造種別を特に主張しない、中性的な建築が生まれたと感じます。 この中性さは、内部空間にもっとも現れています。 逆円錐のやわらかさを内部空間でも生かすため、天井を白く塗り大きな反射板としました。日中は自然光だけで過ごせ、夜間は間接照明だけでも、反射した光によって空間全体が暖かく照らされます。 建物中央を貫く円弧上の廊下は、全貌が見えないことで期待感を生み出しています。この廊下を軸に大小さまざまな空間が展開され、軽井沢の自然風景を様々に取り込んだ豊かな空間体験をもたらしています。 リビング・ダイニングでは、大空間のなかでも人間が落ち着けることを目指しました。そこで、地元軽井沢の山で見つけた3トンの巨石による暖炉を配置。人間がコントロールできないランダムネスを与え、居場所を与えています。
16