西区の家|増築と改修

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 撮影
    山本周
  • 設計
    金沢美術工芸大学西本耕喜研究室 + 山本周建築設計事務所
  • 施工
    大元工務店

札幌市西区の住宅地に佇む、夫婦と子ども4人が暮らす住宅。1971年の建築以来、増築や設備更新を重ねながら、落雪屋根から無落雪屋根への改修など、時代とともに住まいの在り方が変化してきた。住まいの随所に刻まれたその変遷を受け継ぎながら、築50年を超えたこの家を建て替えるのではなく、既存の価値を活かしながら新たな可能性を見出すことを選択した。 これから成長していく子どもたちに必要な個人スペースは既存の2階に確保できたため、1階の空間をより広く、のびやかに暮らせるよう増築と断熱改修を計画。前庭を活用し、玄関棟を増築することで、1階の内部空間を最大限に広げることを目指した。また、短期間での竣工を実現するため、確認申請が不要な10㎡の増築という形式を採用。自然光が降り注ぐ玄関棟は、ライトコートのように柔らかな光を室内へと導き、住まいの内と外をつなぐ場となる。 この住宅地では、高気密高断熱の新築住宅への建て替えが進む一方で、道路と建屋の間に車庫やカーポートが並ぶ風景がいつしか定着している。そのような既存の街並みを前向きに受け入れながら、小さな拡張の中に、暮らしの豊かさと余白を見出す方法を模索した。