葉山加地邸

ビルディングタイプ
ホテル
7
251
日本 神奈川県

DATA

CREDIT

  • 撮影
    Takumi Ota
  • 設計
    カミヤアーキテクツ
  • 担当者
    神谷修平
  • 施工
    小川建設
  • 調査・改修実施設計協働
    戸井田設計
  • 照明設計
    杉尾篤照明設計事務所 / DAIKO
  • グラフィックデザイン
    ONO BRAND DESIGN

「創造的保存」 国の登録有形文化財に指定されている1928年竣工の邸宅を1棟貸しの滞在型ホテルにリノベーションするというプロジェクトです。オリジナルの建築はフランクロイドライトの愛弟子・遠藤新氏によって設計されたもので、ライトのプレーリースタイルの特徴が最も強く見られるもののひとつです。クライアントからは、世界中の建築好きがとまりたくなるような建築の再生を求められました。 これからの滞在型ホテルに必要とされるのは本質的な居心地です。その意味で、築約100年の既存建物にはいくつか解決すべき課題がありました。冷暖房などの空調設備がなく、照明は極端に照度が低い。オリジナルの家具類の実用性などです。 そこでわたしたちは3つのレベルに分けてこの歴史遺産の改修をおこないました。 レベル1:家具も含めて再現不可能な貴重な内装意匠が残る室は、歴史を尊重し保存に徹します。間接照明で照度を補いつつ演出効果を加えます。(メインサロン等) レベル2:新たな家具を加え歴史性と現代性を融合します。家具はプレーリースタイルの意匠を継承した新しいデザインとします。(プレイルーム、テラスなど) レベル3:既存のバックスペースだったところで、意匠的な特徴のないエリアは登録有形文化財による改修制限が緩いため、新たなデザインを取り入れることで新たな価値を付加します。(天井を抜き吹き抜けとした地下の浴室など) 通常このような歴史的な建築家による歴史遺産の保存は、オリジナルの復元や保存に徹するか、実用性を重視して現代的な家具などを組み合わせるかの2択になりがちです。わたしたちは、物理的な意匠だけを保存するのではなく、意匠のもつ規範や精神を保存していく「創造的保存」というアプローチをとりました。これにより、オリジナルの良さを保存しつつさらに現代的に拡張し、多くのゲストを惹きつけるものとなるようデザインしています。

物件所在地

7