
PROJECT MEMBER
東京江戸川区にある大衆居酒屋「とりいちず小岩店」の改修計画である。テナントビルはRC造だが、改修前の内装には化粧柱や欄間が施されており、まるで木造のような昔ながらの和の趣が感じられた。そこで、改修では天井に木を最大限に活用することで既存の和のテイストを継承しながらも新たな空間へと再構成することを目指した。テーブル席と座敷席を設けることが要望であったため、それぞれ異なる性格を持つ空間としながら両方のスペースの天井には新たに木フレームを計画し、既存天井は撤去することでRC造のフレームをあえて露出させ、新旧の時間の経過を感じられる空間とした。テーブル席は大衆的で賑わいが感じられる場となるよう、客席上部の木フレーム間にカラフルなルーバー天井を設置し、活気ある場とした。また座敷席は落ち着いた印象とするために天井高を低めに設定し、客席上部の木フレーム間には、荒々しいコンクリート梁と呼応するかのようにOSB板を採用した。全体としてはグレートーンで落ち着いた印象を持たせつつ、カラフルでポップな要素を取り入れることで大衆らしい賑やかさと落ち着いた座敷の両方の顔を持つ、新たな大衆居酒屋スタイルの試みである。