生出森の家

ビルディングタイプ
戸建住宅

PROJECT MEMBER

DATA

CREDIT

  • 設計
    遠藤祐輝
  • 施工
    月崎工務店
  • 構造設計
    住友林業アーキテクノ
  • 撮影
    SANKO

里山の中のコートハウスに暮らす。 子供の誕生をきっかけに自宅を建てることになった。建築地は私が生まれ育った故郷。地元民はこの盆地を生出(おいで)と呼ぶ。盆地を見下ろす太白山(別名=生出森)から名付けられた住所に表れない地名。生出村の歴史、家族の系譜、幼少期遊んだ田畑や山河の記憶を発想の起点とし考察を進めた。西に栗林、その先の盆地に田畑が広がる。接道が丁度敷地前で屈曲した4m幅の狭い坂道で車は殆ど通らず、ご近所さんが散歩や自転車で出かける日常風景が垣間見える。盆地の西斜面で東に向けて開くコの字型のコートハウスとすることで、室内から前面道路の坂道へ視線が抜けていく。屋根は周辺住宅に多く見られる緩勾配の切妻とし、地産の秋保石(あきういし)を水盤・暖炉背面・玄関ポーチに据えた。西側隣家の日照に配慮し、西面の屋根勾配を3寸とした。北側道路の日照確保と近隣に対し圧迫感を軽減する為、北側前面道路に平行しない配置としている。外壁は周辺環境に馴染むよう、外周角を丸め印象を和らげた。玄関ポーチ右側にベンチをつくり、腰掛けたり一時的な荷物置きに使用している。郵便受け・呼び鈴は家の形を縮小したスケールで製作している。ポーチ付近にイロハモミジ、アオダモ、ヤマツツジ、ナンテン等を据え、土間に秋保石、その外側に川砂利(宮城県鳴子産)と割栗石(宮城県丸森産)を据え里山の風景に馴染ませた。玄関へ入ると正面の窓越しに中庭のミツマタが出迎える。居間南側は腰窓とし開口を絞り、収納を兼ねたライトシェルフで反射した太陽光を内部天井へ導く。暖炉は長椅子側に向け角度を付け、中庭の風景と炎が共に座る人へ向くようにした。食卓からは西に広がる栗林借景を望み、開口部にベンチを設えサッシ高を1800mmに抑えることで風景を切り取っている。和室から中庭側を見る際、断面検討より屋根厚みの中に東側の一段高い隣家が隠れるよう計画し中庭の緑が山の緑へと繋がる事を意図した。 普段は内側に向かって車を2台駐車している。車も家族の一員という考えのもと、中向きに駐車することを家族の決まり事としている。外廊下の回遊導線の中程に薪を積み、夜間駐車の際のヘッドライトの目隠しを兼ねた。中庭は2種類の苔(スギゴケ・スナゴケ)を市松敷とし、次第に混ざり合う事を期待した。水盤(秋保石)は浅くつくり、晴天時は犬走として、雨天時は樋無しの屋根から雨や雪解水が落水する水盤として機能する。この水盤と杉材デッキの外廊下を飛び石(伊達冠石)でつないでいる。 中庭・車庫土間の中間領域をこれから先の将来、様々な用途として使いこなすことが課題であり楽しみでもある。

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