Buddhanimit Temple

ビルディングタイプ
その他文化施設
3
78
タイ Chang Wat Udon Thani

PROJECT MEMBER

DATA

CREDIT

  • 設計
    Skarn Chaiyawat + 進藤理奈 + Wittee Wisuthumporn
  • 担当者
    Skarn Chaiyawat、進藤理奈、Wittee Wisuthumporn
  • 施工
    Naris Pairat
  • 構造設計
    Sumpun Kutranon
  • 撮影
    Chaovarith Poonphol Photography

タイ・ウドーンターニーの農村地帯に位置する寺院の、修行僧のための寮と共用施設の計画である。 この寺院には、公教育を受けられない家庭に無償で教育を提供する寺子屋があり、修行僧として入学する生徒の増加に伴い新たな寮の建設が求められた。 当初の依頼は、600万バーツ(約2100万円)の予算で2階建ての寮を新築するものだったが、 現地調査を経て、敷地内にあった旧校舎を寮に改修し、予算の一部を、共用の水まわり棟と図書室の新築に充てることを提案した。 このスキームによって、当初の予算内で、生活の場だけでなく学習や課外活動の場を提供するとともに、敷地のコンテクストや既存建物を尊重し、新しいものと共存させることを試みた。 寺院の敷地内で廃墟となっていた旧校舎は、RCの柱と梁を残して解体し、外壁・間仕切壁・屋根などの必要な要素のみを追加して、約40人の修行僧のための寮へと改修された。計画に際して修行僧とのワークショップを行い、最終的に、4~5人でシェアするベッドルームと、リビングルームの役割を兼ねた大きな廊下を設ける計画となった。土地の風道に直行して建つ既存建物の配置を活かし、居室の南北に開口部を設けることで、空調設備がなくても自然な風の流れで有効に換気ができる計画とした。 廊下の外側には有孔ブロックを斜めに積層させたスクリーンを設けることで、広場からの視線を遮り、プライバシーを確保すると同時に、自然光が入り、風が通り抜けるよう配慮した。 寮の裏手に配置された水まわり棟は、寺院の敷地内にいるすべての修行僧を受け入れ、一日中、気軽な集まりや交流の場となる。屋根は、半透明と不透明の屋根材を交互に配置することで、建物内部に太陽光をバランスよく取り込めるように設計した。自然光と風通しを確保することで、衛生的にも良い状態を保つことができる。 図書室は、既存校舎から直接アクセスできるよう廊下の延長線上に配置し、渡り廊下で繋いだ。既存校舎の床レベルに合わせて床を高くすることで、風の流れを良くして湿度を下げ、南側に傾斜する屋根をかけることで、直射日光を防ぐとともに、北側にハイサイドライトを設けた。隣接する校舎の白い壁面に日光を反射させ、図書室内に間接光を取り込むことで、書籍の劣化を防ぎながらも、心地よい明るさを確保した。 竣工後、寮に設けた大きな廊下は、僧侶たちが余暇を過ごすだけでなく、彼らに会いに来た家族や来訪者との面会の場にもなっているそうだ。図書室はよく利用されているようで、本棚が足りなくなるほどに蔵書が増えている。水まわり棟の脇にはベンチとテーブルが置かれ、気持ちの良さそうな憩いの場が生まれていた。 3つの建物が僧侶たちの日常に溶け込み、彼らの生活行為が掛け合わされることで、もとからそこにあったような自然さをもつ建物群となった。

物件所在地

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