
場所は沖縄県の那覇市。近隣には伝統工芸である壺屋焼などの焼き物通りがあり、本敷地はそうした落ち着きがあるものの沖縄でも珍しい密集した住宅地である。 敷地には2階建ての実家があった。古くて使い勝手が悪くリノベーションするにしても駆体コンディションが悪い。そうした流れで建て直ししようとした時、クライアントからの要望は自然と使い勝手が良い平家を希望。そして人通りの多く、密集している事からプライバシーの確保の要望が大きかった。 設計する立場としては古い歴史を持つ地域柄から外観デザインをどうするか?という課題が投げかけられたような気がした。とは言えプランを始めると隣地の土地との計画地レベル差が大きく建物をセットバックさせないといけないため敷地いっぱいに使えない。使える部分が大きくない事がすぐわかる。平家の面積を確保するのも難しい。使える面積を最大限にしようとすると、自然と道路に面する境界線や隣地境界線を平行移動し、室内面積を最大限残るように外壁ラインを決めた。 そうして計画した外観は敷地形状と似た多角形(ポリゴン)の家となった。歴史のある場所で、この多角形の外観は正面があるような無いような、不思議な距離感と調和を近隣と持つ家となっている。 外壁面はできるだけ開口部を設けず、室内LDKの位置を決めた。LDKに連続するようにテラスを設けるが外壁はそのままテラスを覆う形となっている。こうした囲まれたテラスはLDKに安心感を与えつつ、沖縄的な縁側のような半戸外な場所となり光と風を取り入れる。平家なので必要な光と風はテラスやトップライトなど空から取りれた。訪れる人からは室内の明るさは驚きを与えるようだった。 こうして出来上がった住宅がクライアントの生活を支え、そして近隣にも馴染み、長く建ち続けてくれることを願う。