
・ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社ZOZOの新たな物流拠点となる、つくば市の「ZOZOBASE」の休憩ラウンジ、オフィスである。 ・ラウンジの意匠は、つくばの古くからの民家の大きな縁側とその先にある庭から着想した。そこから縁側のある民家のあった場所に、縁側と公園の木を残しながら倉庫を作ったようなデザインとした。 ・使いやすさ、拡張性、フレキシビリティを求められたこのラウンジは、3 つのエリアがある。天井高が6m でのびのびと休憩したい人のための公園のような『パークラウンジ』、天井高の低いルーバー下で落ち着いて休憩したい人のための『縁側ラウンジ』、売店の近くで他の2 つのラウンジと雰囲気が異なる『ダイニングカフェ』とスタッフが自由に選べる。 ・ルーバー天井とコンクリートの床が演出する『縁側ラウンジ』は、たくさんのスタッフがロッカー室や倉庫へ行くための動線としての高い視認性、床の高い耐久性がある。『公園ラウンジ』は、自販機や冷蔵庫、電子レンジなどをラウンジの真ん中に設置した。本来は嫌われ隅に追いやられるものだが、あえてラウンジの真ん中に置くことでどこからでも等距離になり機能面が向上する。それらを視線と導線を仕切るために公園のフェンスのようなパーテーションで隠す。これらはZOZO社が取り扱う、アパレルの象徴である繊維、茨城の特産品結城紬をモチーフにし、またたくさんの視線と人が通るラウンジ内で人が通るごとに人が消えたり現れたりと不思議なモアレを起こす。毎日無機質で窓のない倉庫で働いているスタッフが、窓の大きな明るい、本物の木の床や樹木のある本当の外のような有機的なラウンジでゆっくりとくつろぐことができる。大きな木やパーテーション、どこからも視認できる大きな時計など機能面と使い勝手、デザイン面と全てにおいて公園を演出している。休憩ラウンジ全体では、現状390 席の席数が最大450 席まで増やせる拡張性を備えた。全て同じ椅子、机の組合せでできており、整理整頓しやすい。 ・オフィスは、柔らかい質感の仕上を選び、家具は全て木製とすることで、従来の硬くて無機質で固いイメージのオフィスからの脱却を図っている。会議室は全ての部屋の仕上げや色を変えている。部屋を選ぶ楽しみ、来客者のここへ訪れる楽しみ、そこから生まれる創造力と生産性の向上、仕事の効率化を狙う。 ・今回のような大きな施設では、たくさんのスタッフが一度に働く。その個性と感性、その時の気分や一緒にいる友達の人数、使い勝手に応えるべく多様でフレキシブルな場所を設けた。その多様性の中で「ZOZOBASE」の焼印のされた同じ椅子やソファ席に座っていることで組織に対する帰属意識、自社ブランドと団結力を意識させる。多様な個性と考えが存在する現代において、それらに答えつつ同じ組織の中で働いているという共通意識を持たせることのできる場所を作った。