ASKWATCH Nakano

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AICA施工例コンテスト2022 特別賞 所在地:東京都 設計:KENTA NAGAI STUDIO 用途:商業施設 竣工:2022年5月 工事種別:新築 採用商品:メラミン化粧板 世界中の希少な時計を集めた専門店の2号店の計画である。 サイトは、サブカルチャーの聖地として知られ、さまざまな商品と狭小店舗が高密度に集積されている、都内の商業施設・中野ブロードウェイの一角にある。近年では高級腕時計の聖地としても知られ、館内には多くの時計店が立ち並ぶ。 特徴的な商業施設内への出店となることから、本店でつくりあげたブランドイメージを踏襲しながらも、異なる環境や客層との関係性を考慮し再構築することが必要であると考えた。 まず、本店の特徴ともいえる、天井照明を排した什器のみの照明計画による非日常感の演出は、この施設内においては多くみられる手法であることに気が付いた。 そのため、フロアに並列するほかの店舗にこの店が埋もれないよう、差別化を図ると共に、この施設を訪れる顧客層にも受け入れられるファサードをつくりだすことが必要となった。 そこで、共有部と店内の間にカラーガラスを建てることとした。ブランドイメージの1つである無機質な光の表情は踏襲しながらも、それらの光をカラーガラスを通してアンバーで上品な表情へと変換することで、並列するほかの店舗との差別化を図り、館内の競合店を訪れた顧客が興味を持ちやすい上品なファサードをつくりだした。 そのほか、店内ではこれまでの同ブランドのコンセプトを踏襲し、時間と空間の関係性を感じられるよう、高いコントラストを意識しながら、石、プラスチック、アルミニウムなどの各仕上げ材の特徴を生かしつつ、空間に配していく構成とした。 中野ブロードウェイにおける完全に整備された区画内では、荒々しい躯体を取り入れたデザインは望めないため、一部の壁を石貼りとすることで、素材特有の重量感と時間の蓄積を視覚化したいと考えた。 また、細長い筒状の店内において、正面の壁面はミラー仕上げとし、限られた店内スペースに奥行をつくりだすことで、狭小区画特有の圧迫感やカウンターと対峙する入りにくさを払拭する構成とした。 ブランドコンセプトを体現しながらも、環境や訪れる客層などを考慮し、新たなファンを獲得できる、そんな時計のメッカの地に相応しい店舗づくりを目指した。