北白川のフラット

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所在地:京都府 設計:IN STUDIO 用途:集合住宅 竣工:2020年7月 工事種別:改修 採用商品:セラール 京都の都市空間はどのようなものか。古代からある山に囲まれ、近世に形作られた街路・緑地・水面を基盤とし、近世から現代までの建物が累々と建っている。つまり、複数の厚みのある時間の重なりが空間化している。この時間の厚みが住むときの拠り所になると信じて、御陵の隣のマンションを改修することにした。 改修にあたって、京都の都市のように、古いものと新しいものが並置された空間を作ろうとした。まずは30年前のRC躯体・新しい内装用と外装用のセメント板を並置し、生活空間の躯体とした。キッチンはセメント版とよく似た不燃化粧板で仕上げた。そこに80~30年前の古建具・30年前の襖・新しい合板・コルク・畳を並置し、生活を支える設えとした。古建具は市内の民家解体で手に入れたもので、日に焼けた襖には植物園の蓮を描いてもらった。 ここには、新品の建材・30~80年物のコンクリート・襖・古建具が並び、700年続く御陵の森が5000年前から人の住む地面に生えているのが見える。今日の生活が古代まで連続していることが一望され、持続してきた時間のうえに住む実感がある。マンションは閉鎖的な空間構成であるけれど、都市の時間を流し込み、都市のイメージを写し取ることで、人の生活は都市に開かれ、住居は開放性を得る。