M邸

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「AICA 施工例コンテスト 2023」入選 設計:鈴木岳彦建築設計事務所 所在地:東京都 用途:戸建住宅 竣工:2022年11月 工事種別:新築 採用商品:クライマテリア ストンアート(外壁) 延床面積10坪の極小の住宅。線路工事に伴う用地買収後に残った、9坪弱のくさび型敷地に建つ。分筆前の土地に長く住んでいた施主は、この場所に住み続けたい強い想いから分筆し建替える決断をした。 南側道路は一時的に仮線が敷設されるため玄関が設けられず、北側は条例により外壁の後退を求められた。室内は動線空間を最小限としたい。おのずと、建物北側をアプローチとし、玄関を入るとそこがすでに全体を貫くらせん階段の一部であること、各スペース同士をそのらせん階段が直接結ぶことが決まった。 各スペースの極端な小ささと、らせん階段の大らかさによって生まれる主従の曖昧さを強化するように、各所のデザインを決定した。階段まで伸びる各スペースの床仕上げ、逆にスペースに伸びて家具化し別の機能を兼ねる階段、常に階段の先に別のスペースが垣間見えるような構造や踏板や家具の在り方。スペースと階段という区別を超えて、極小のスペースに身体を親密に包まれながら同時に家全体に居ると思える感覚、そんな「小さな広大さ」の実現を試みている。 建物の面する線路敷の砂利やコンクリート平板の柵といった周囲のラフな要素に合う外壁材として「クライマテリア」を採用している。 審査員講評/吉村 靖孝 線路の拡幅により狭くなった敷地に住み続けたいと願う施主からの依頼に応えた。階段は平面形状や材料がひとつひとつ異なり、延床面積10坪のなかに、まるで小さい宇宙のような空間が広がっている。敷地周辺のラフな状況に対応するように、外壁にはクライマテリアが用いられた。