フルハウス
「AICA 施工例コンテスト 2023」入選 設計:矢部達也建築設計事務所 所在地:大阪府 用途:戸建住宅 竣工:2023年2月 工事種別:新築 採用商品:ジョリパットネオ(外壁) 大阪市南部、120m²の敷地中央に44m²、3層の箱が建っている。 間仕切り壁とスラブをつくるコンクリートを木の壁と陸屋根で包む。コンクリートの量感と肌理はインテリアで楽しみたい。蓄熱体としての性能にも期待している。床仕上げ以外に何にも触れないコンクリートの厚板がかたちづくる骨格。それを包むエンベロープを木でつくれば、木造用サッシの使用と断熱仕様による省コスト、非構造の薄い外壁の軽快さ、耐震要素と干渉しない自由な立面などの利点がある。 ワンルームでも使える44m²を数枚の壁で間仕切ること。仕切られた場所から、つながる次の場所が見え隠れするように。3層なので階段の穴が2つ。壁が構造体となるなら上下の整合が必要。これらの条件を満たすのに、外周をなす長方形の中にもう1つ長方形を入れ込むのがよいように思えた。辺上に立てた壁がコアとペリメータを分ける。コアはすこし薄暗い奥まった場所。そこからペリメータとその向こうの庭を望む。ペリメータは文字通り内部の縁側。横長窓を開け放てば半外部に近い環境にもなる。 外壁はつるっとした質感を求め、モエン大壁工法を採用。「ジョリパット」のモアプレーンで仕上げた。 審査員講評/石上 純也 コンクリートの構造体を内側に計画し、木の外壁と陸屋根によって包み込む建築。外壁をジョリパットのモアプレーンで仕上げている。製品の使用方法はきわめて一般的ですが、この建物がつくりだす微妙なバランス感覚、つまり、重さや軽さやそれぞれの素材違いなど、それらが特に主張し合うこともなく、それでいてそれぞれの存在感も失わないような素敵な雰囲気を生み出していると感じた。