
「南荻窪の家」の敷地はもともと南側の隣地と一体の土地で、古い日本家屋が建っていた。建主に住んでいた頃の話を聞くと、周辺は昔から大きめの区画で庭と緑があるほどよい密度の街並みであり、多少なりともの姿形を変えども現在に継承されていることがわかった。そのような場所性から、一間で続くかのようなゆったりとした空間を簡素な屋根と矩形で包むことにした。敷地の高低差を活かし、高い部分の中心に家族が集う場を据え置き、低い部分に半地下を設け、その上階に屋根裏のような空間をつくっている。用途や位置でボリュームの差をつくり、個々の室に見合う光を採り入れ、高低差を結ぶ小さい階段部が緩衝帯となり、適度に距離を取りながらも集う場と個の場の連続性を確立した。 将来像を見据え、まだ小さい子どもたちの場所は間仕切りを設けず、自由に使えるようにし、今後室化させたりまた取り外したりと、その連続性に変化をつけることができるようにもしている。(石川 素樹)(著書「ELEMENTS 5つの建築 5つの断章」本文より)